第12回サイバー歌会(新年歌会)
(2005年1月12日~2月15日)

作 品 作者名
1  さっききみが何をお願いしたのかを聞けずに雪を踏みしめており 笹岡理絵
(7票)MZTN、大屋、すずむしとまと、 草野、岩田、もね界慧、黒瀬
2  招福の干支の土鈴の鶏のコケて転げてココとも鳴かず 二嶋結
(3票)伊波、しのざき、山口
3  刎ねられし首赫赫と曼珠沙華少年なれば処刑も美し 小川日出輝
(1票)宮崎
4  昨日捨て今日に拾った言の葉を歌と一緒に紡いでいます 柴山保
(2票)山口、中浦
5  脳(なづき)の死思はせてタージマハールの鞠は気高くこはれてしまひぬ さゆら
(10票)舟橋、伊波、しのざき、村本、やそおとめ、中條、草野、根来、河村、月山
6  暗証番号思い出せない草色のカードのうさぎがなにか見ている MZTN
(7票)二嶋、宮崎、大屋、武田、近藤、樋口、黒瀬
7  人間のやはらかき夢ゆつくりと食みつくすなり彼の世の獏は 堀田季何
(3票)黒田康之、海野、村田
8  「ほら、雪は六角形だ!」覗きをるきみのうなじにもうひとつ雪 黒田康之
(11票)笹岡、さゆら、鱸、鈴木、鷺沢、大屋、武田、中條、香乃、岩田、樋口
9  荒れ野より盗みきたれる神のばら莟を解かぬかたくななまで 月山幽子
(2票)大塚、堀田
10 降る雪のひとつひとつが思い出であるなら母はどれなのだろう 舟橋剛二
(6票)笹岡、MZTN、春畑、すずむしとまと、寺川、菊池
11 古書店に自殺したいと思(も)ひたちし太宰全集を売りにゆく冬 宮崎浩
(2票)香乃、村田
12 ひたぶるに己が身を舐め消え果つるまろき老い猫かも地球とは 伊波虎英
(6票)舟橋、しのざき、みの虫、大屋、海野、村田
13 昨日今日明日明後日明明後日とまれと叫ぶ声を聞いたか
    (きのうきょうあしたあさってしあさって)
喜多寛
(2票)武田、有沢
14 半額の買い物の値札とる刹那わが物となるその侘しさよ 伊藤あさ子
(2票)柴山、中浦
15 怒っては駄目なのだから(しんこきゅう)森のボノボは今日もホカホカ しのざき香澄
(7票)伊波、鱸、村本、鈴木、やそおとめ、香乃、月山
16 一九〇一年元旦生まれ出で二〇〇〇年除夜に逝きし人ありや 大塚寅彦
(1票)堀田
17 塩筋子食(たう)ぶればそは母の味とほき産土(うぶすな)の汐が寄せくる
(6票)喜多、大塚、 山口、春畑、伊藤、近藤
18 戦場はポーンと遠くて歌合戦の赤組が勝ち新年となる みの虫
(4票)黒田康之、伊藤、大塚、久慈
19 母わたし姪と妹 ふとももを比べ合つてる正月五日 村本希理子
(3票)二嶋、すずむしとまと、 岩田
20 反抗期で左と言えば右を向く子のなずきは今ノット回線 山口範子
(1票)中浦サチ子
21 君と居るその空間の柔らかさ明日への力出ずるなるかな 内田純子
(1票)堀田
22 幾まがり曲がりあゆめる谷間(たにあい)に裸木透かす上弦の月 上村 霞
(8票)笹岡、喜多、山口、中條、草野、香乃、根来、近藤
23 透きとおる水に破綻のなき夕べ病みしおまえの胸の音を聴く 鈴木貴彰
(14票)柴山、さゆら、黒田康之、宮崎、上村、鷺沢、中條、根来、寺川、河村、菊池、久慈、有沢、月山
24 少年はまた少年を腕にだき稲妻さるをただに待ちたり 鷺沢朱理
(0票)
25 十年のたちまち過ぎてしまふことイタリア映画に見つつさびしも 春畑茜
(8票)舟橋、伊波、伊藤、根来、近藤、樋口、多田、黒瀬
26 道連れがほしいと言ひし巡礼に今朝は逢はざり潮鳴りばかり 小松原康生
(2票)多田、久慈
27 私から離れる刹那かがやける魚の目 鱗のはしの棘 大屋邦子
(2票)鈴木、やそおとめ
28 @の後の言葉が浮かばないその空白にあるなしの風 武田ますみ
(6票)柴山、MZTN、しのざき、村本、やそおとめ、河村
29 耳もとで老母だくやうに祈ります牧師の耳に補聴器のある すずむしとまと
(4票)鱸、村本、海野、多田
30 冬の夜に浮かぶ星座は一晩の夢を紡ぎて西に傾く 海野灯星
(2票)宮崎、伊藤
31 なにゆゑに詠ふのでせううつそみの命の虹をきはめむがため やそおとめ
(1票)岩田
32 けさ届くメールアドレス<yozoranohosi@…>ペースメーカー埋め込みしとぞ 中條レイコ
(8票)柴山、鱸、みの虫、大屋、寺川、河村、伊藤、黒瀬
33 大寒の吹雪の雄叫び追放(やら)はれて紅梅凛たり白暁の庭 中浦サチ子
(2票)喜多、海野
34 骨片は母にあらねど手向け水 不在の空に埋めむしづくを 草野みつ
(1票)月山
35 口数も少なに去る子縁側に取っ手綻ぶ土産を置いて 香乃
(10票)さゆら、伊藤、村本、上村、春畑、すずむしとまと、村田、岩田、樋口、多田
36 初雪へ十指を伸ばしかざすときはるかに萌ゆる志あり 根来麻子
(6票)さゆら、MZTN、舟橋、上村、鷺沢、伊藤
37 催眠療法のさなか大地震(おほなゐ)おこりたりさすがあかるしわが逃避行 寺川育世
(2票)月山、堀田
38 注文の多き料理屋に味噌ラーメン頼みて三月(みつき)と十日経ちたり 河村壽仁
(2票)もね界慧、有沢
39 束縛を嫌うあなたが休日の午後の海辺で読む素数論 松村由利子
(10票)笹岡、黒田康之、伊藤、大塚、鈴木、武田、すずむしとまと、寺川、近藤、有沢
40 一点の曇りも見せぬ蒼天に投げし白球いまだ戻らず 村田馨
(7票)笹岡、MZTN、大塚、上村、鷺沢、根来、樋口
41 「早く寝ろ」「ストーブを焚きすぎるな」と歌詠むことの難儀ぞ多し 伊藤京子
(4票)喜多、みの虫、中浦、もね界慧
42 やじろべえ左右に用なす団栗に添ふことのなき時間はめぐる 近藤かすみ
(4票)山口、上村、武田、村田
43 陶製の便器は<泉> 渇水の妃に男子出産を乞う 菊池裕
(3票)みの虫、伊藤、堀田
44 なんとまあ軽くなりたる人の死よテレビを消して花に水やる 岩田正治
(4票)鷺沢、草野、もね界慧、黒瀬
45 タラララン真夜中PC立ち上げて買い物をせり楽天市場 樋口勝子
(3票)さゆら、伊藤、菊池
46 どの局ももう番組を終へてゐて窓に寄せてはかへす風鳴る 多田零
(7票)二嶋、舟橋、みの虫、鈴木、春畑、寺川、菊池
47 男などオブジェに過ぎぬ 脚ながき青年ダヴィデの石膏を割り 有沢螢
(3票)柴山、宮崎、香乃
48 病にて逝く子猫をり四肢打たばさほど変はらぬひとを想ふ 久慈八幡
(0票)
49 またたとえ飛ぶこと無くも小鳥らは身を声にして歌はうたいぬ もね界慧
(3票)二嶋、中浦、久慈
50 ああ我は誰かの過去世まなかひに雪ふる朝を地の底として 黒瀬珂瀾
(16票)二嶋、黒田康之、伊波、喜多、しのざき、春畑、海野、やそおとめ、中條、草野、河村、菊池、多田、久慈、もね界慧、有沢

1位
 黒瀬珂瀾(16票) 2位 鈴木貴彰(14票) 3位 黒田康之(11票) 4位 香乃、松村由利子、さゆら(10票) 7位 上村霞、春畑茜、中條レイコ(8票) 10位 笹岡理絵、MZTN、村田馨、多田零、しのざき香澄(7票)
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