第13回サイバー歌会
(2005年6月8日~30日)

作 品 作者名
1 「美しさとは何だろう」との問いも必要のなしミロのビーナス 天姫
(1票)宮崎
2 まつすぐに空を突き抜くごとき夢わが身をめぐる血潮も見るか 舟橋剛二
(1票)小松原
3 病室に旧き友きていくつかの沙汰を零しぬ蚊のなく宵に 小松原康生
(4票)さゆら、舟橋剛二、すずむしとまと、村本希理子
4 官能のネット小説あかあかとデジタルノイズで盛り上げながら 宮崎浩
(1票)堀田
5 きこゆるは世界がための誄歌かな琥珀に染まる廃園の甃(いし) 堀田季何
(8票)鱸、春畑、やそおとめ、香乃、伊波、宮崎、中條、村田
6 八月を日時計奔れをさな児の膝裏(ひかがみ)にむべひかりあつめて 伊波虎英
(3票)香乃、丹羽、喜多
7 神経の束捻ぢられる風のあと煌めきながら蒼穹剥けて 月山幽子
(0票)
8 艶やかな僧の読経に合わせたり菩提寺を往く千の春蝉 丹羽まゆみ
(12票)岡崎、さゆら、舟橋、風音、久慈、大塚、天姫、中條、喜多、中浦、根来、菊池
9 崩るるは安全神話、薄刃にて削ぎて貼りたる人智か裂けぬ
(1票)堀田
10 まなうらにジュラ紀さなかの景色みて我が乗る魂(たま)は〈ろ座銀河団〉往く 二嶋結
(1票)江川
11 つひの日の昇華みまほし燭台に風吹きよせてゆるる青き灯 上村霞
(1票)海野
12 調べこしポリスの黒き腰の物見れば存外小さしと思ふ 伊藤京子
(5票)伊波、宮崎、久慈、寺川、菊池
13 葱坊主雄蕊ゆるりと動くよう花の季節はむず痒くなる 柴山保
(4票)さゆら、すずむしとまと、根来、小松原、(もりき)
14 白秋の伝記並びし古書店のあじさい堂に今日雨が降る 海野灯星
(3票)すずむしとまと、村田、小松原
15 掻きあげる髪の仕草も似通へるドンペリ漬けの胃のたぷたぽん やそおとめ
(1票)寺川
16 けはひとふものただよはす庭先に来る日来る日のこの仔の役目 さゆら
(2票)香乃、二嶋
17 いくつもの砂丘の風紋消し去れば嗚呼その時に海をわたろう 喜多寛
(7票)鱸、岡崎、月山、上村、ふーしゃん、二嶋、大塚、(もりき)
18 やまぼふし咲く庭道に黒猫がしのびのやうに音なくよぎる すずむしとまと
(7票)鱸、春畑、江川、風音、天姫、中條、菊池
19 足踏みのミシンの腕に朝日さし亡き母をよぶ醒めぎはの夢 ふーしゃん
(6票)海野、伊藤、 上村、伊波、大塚、村田
20 背を向けて片手を挙げてバイバイと積年の恋終えたらいい 岡崎ウッチー
(0票)
21 「梅雨なんて大っ嫌い」と言う友に「憂鬱だけど恵みの雨さ」 風音颯羅
(1票)柴山
22 翔ぶつばめ瞬の風切る青水無月(あおみなづき)男も泣く時ありと詠みしひと偲ばる 中浦サチ子
(1票)堀田
23 名にし負うサルトル生誕百年の何も無ければ昼ゆるびたり 菊池裕
(3票)やそおとめ、村本、寺川
24 前つ世にこゑひとつ落とし来しことを若葉の宵はそつと悔やめり 根来麻子
(5票)海野、浅野、月山、丹羽、二嶋
25 ゆかりなき地名に吾が手つまずいた故郷の宛名 雨は木霊す 香乃
(1票)丹羽
26 夜のバスを運転する夢客なきに〈降ります〉ボタンみな燈りつつ 大塚寅彦
(3票)月山、上村、喜多、(もりき)
27 五月雨や人影のなき駅舎にてディーゼルカーが煙りを吐きぬ 村田馨
(5票)浅野、春畑、舟橋、村本、久慈
28 月明の青竹群を思はせてさらにと入れば離(か)るるくちびる 寺川育世
(1票)伊藤
29 犬みたいな匂ひするでせう? くちびるが やだ 塩辛を食べたばつかり 村本希理子
(2票)やそおとめ、柴山
30 秋暁の雨はかの日のきみのこゑしづかしづかに胸を濡らせり 春畑茜
(6票)浅野、伊藤、風音、ふーしゃん、中浦、根来
31 一陣の風ふきしかば青簾揺るるよ夏宵闇の蛍も 浅野久元
(0票)
32 担任の名前教えくれし一年生その先生も君も幸あれ 江川優
(2票)岡崎、天姫
33 その記憶箱詰めにして持ち去りぬ そう柔らかい足音のまま 中條レイコ
(3票)岡崎、ふーしゃん、中浦
34 晴れ&&子らと遊べ公園の向日葵の下電話ごっこ
   (ルビ:&&=ならば、電話=phone、フォン)
久慈八幡
(1票)江川
   
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