第14回サイバー歌会
(2005年10月2日~10月25日)

作 品 作者名
1 <十戒>の解釈文を書くつらさ月の夜の嘘がよみがへるゆゑ 宮崎浩
 
2 寒心をひとつ抱へて秋の夜の月へ禊と捧ぐ一献 船坂圭之介
宮崎、ゆあたり、二嶋、上村、菊池、ねごろ
3 木漏れくる月の光のくらくらと 愛の一歩の戸惑ひが なほ みずき
宮崎、岡崎、堀田
4 球形の輪郭線を指で追うカナシイことの両面として 黒田康之
沙野、KADESH、竹山、倉益、海神、福田、菊池
5 四十六億年続く満ち欠けをシャッターで切り満月とする KADESH
黒田、天姫、伊波、大屋、海神、しのざき、すずむし、風音、近藤
6 話しつつ追い越す影はただ一つ怪談めくやケイタイの闇 岩田正治
宮崎、岡崎、香乃、村田
7 永久(とこしえ)の美追い求めて今日も往く空見上げれば光る満月 天姫
 
8 まんまるになれない月が今日もまた東の空で首をかしげる ゆあたり
桂華、海神、やそおとめ
9 夕闇に浮かびはじめし仲秋の光がまどわす幾多の心 桂華
KADESH
10 君という夕星(ゆうづつ)目指し果てしなき月の砂漠を歩む旅人 竹山典孝
岩田、伊藤、宮崎、天姫、桂華、瑞紀
11 今も鮮 熱にうなされ見た月夜三途の川に蒼白き光(こう) 川島千枝子
 
12 赫よりもあかき緑をしたたらす処女叫喚の、極月は来よ 伊波虎英
沙野
13 有明の厨襲へる地震(なゐ)ありて豆腐半丁悪夢より醒む 二嶋結
KADESH、伊波、喜多、村本、やそおとめ、春畑、しのざき、すずむし、菊池、近藤
14 月明の煌(こう)砂漠の果まで及べるや千夜一夜で息子(こ)は企業の戦士 中浦サチ子
大屋
15 満つ月と50の愛をとじこめて観覧車廻るEXPOの夕 岡崎ウッチー
岩田、伊藤、宮崎、みずき、天姫
16 月のしろ空のみずいろだあれもいないだあいれもいないカフェテラス 沙野はとう
みずき、ゆあたり、中條、寺川、ねごろ、風音、堀田
17 窓の辺に子らの声がし新築の家より十五夜月のぼりくる 大屋邦子
天姫、二嶋、春畑
18 あかあかと照る望月に薄らぎし惑(けいわく)添へりニッポンの夜は 伊藤京子
 
19 朝光にゆふべの月はしらじらと脱皮の後の革をさらして 倉益敬
黒田、竹山、村本、阿部
20 満つ月の苑に僅かな闇も欲し視(め)を細めたり光芒十字 香乃
大屋、上村
21 いざよひの月に兎のかげろふて携帯電話まくらべに鳴る 上村霞
柴山、桂華、竹山、中條、すずむし、阿部、大塚
22 見られてる気配にふりむきゃ飛行機が月の光の中を飛んでる 喜多寛
もりき萌、寺川、大塚
23 情けないばっかりになる満月の夜更けに君の寝息が痛い 海神いさな
竹山、香乃、ほにゃらか、阿部
24 人形(ラブドール)に月を抱かせてゐるやうな男とばかりすれちがふ午後 村本希理子
伊波、二嶋、倉益、やそおとめ、もりき萌、ほにゃらか、ふーしゃん、菊池、ねごろ、大塚
25 満月に届かぬままのダイエーの行く末案じカリスマは墜つ 村田馨
丹羽
26 月浴みのしづかなるみづ俯(うつぶ)して車はねむる秋の白金 やそおとめ
沙野、倉益、上村、春畑、福田、丹羽、寺川
27 うす青き月の光は漂えるくらげと吾の背をひとしく照らす もりき萌
KADESH、竹山、倉益、上村、海神、しのざき、すずむし、寺川、大塚、堀田
28 時雨月すぎてふたたび冬の日々あるいは思ふ実朝の孤(こ)を 春畑茜
船坂、やそおとめ、ふーしゃん、すずむし、福田、阿部
29 望遠のレンズの先の秋の月くろきかげ見ゆ青春(はる)の痕かも 柴山保
岩田
30 あな月がそこに彼処に見え隠れどうにもできぬお前のようだ ほにゃらか
ゆあたり、海神、村本、しのざき、瑞紀
31 新月のうぶげ震わすぬくりあの息吹きかけて寂しい夜だ しのざき香澄
伊波、二嶋、ほにゃらか、瑞紀
32 仄蒼き月の光の下あゆみ異界へ繋がる径(みち) 怖れつつ 中條レイコ
 
33 赤い月わたしの頬に降りそそぎ大陸的な笑みと愛さる ふーしゃん
 
34 何が無し不安に包まれゐ寝し夜のキールン軍港の月美しき すずむしとまと
喜多、村田、ふーしゃん、ねごろ
35 夕月夜 いまひとたびとおもふ身のわが心象に藤の花散る 福田睦美
船坂、黒田、岡崎、上村、風音
36 うすあをき子宮のなかにある月のしんしんとくりかへす満ち欠け 丹羽まゆみ
伊藤、黒田、倉益、村田、もりき萌、瑞紀
37 青鷺が眠りにつけば月光(つきかげ)の沼は秋色イーハトーボの 阿部まさよ
香乃、春畑、ねごろ
38 玻璃杯にうつした月を一息に飲みて lucky girl にならむ 瑞紀
沙野、伊藤、KADESH、桂華、喜多、寺川、堀田
39 草原の放置自転車月光を浴びて静かに身を横たえる 長谷川径子
沙野、柴山、船坂、ゆあたり、岡崎、喜多、ほにゃらか、中條、ふーしゃん
40 音楽の苦くひびく夜かたむきて月のさざなみ耳に受けてる 寺川育世
みずき、風音
41 烈風になびく上枝(ほつえ)の神無月そのうち戦争さえ民営化 菊池裕
大屋、香乃、村本、村田、春畑、ほにゃらか、中條、ふーしゃん、丹羽、近藤、大塚、堀田
42 十六夜の月に逢ふとて狛犬のまなこ一晩琥珀となりぬ 根来麻子
船坂、みずき、桂華、伊波、大屋、喜多、もりき萌、福田、阿部、瑞紀、近藤
43 月読みの鏡に願ふ今宵この時遠き地にて君も我想へ 風音颯羅
 
44 ぬばたまの髪の芯までほつほつと恋ひしきひとを待つ星月夜 近藤かすみ
岩田、伊藤、柴山、船坂、黒田、天姫、二嶋、岡崎、香乃、やそおとめ、しのざき、丹羽、風音
45 月球の中へ中へと兎らは夜ごとクレーター掘つてまた掘つて 堀田季何
岩田、柴山、ゆあたり、中條
46 名城に射すつきかげや鯱(しやちほこ)の女男(めを)のひかりの響きあふまで 大塚寅彦
柴山、みずき、村本、村田、もりき萌、福田、丹羽、菊池、近藤
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