第15回サイバー歌会 歌評
25 髪を剃り 術待つ叔母の 胸にある 九段の桜 逝きし兄の絵
逝きし兄の絵の結句は、詠みすぎに思います。登場人物が二人、作者や読者からみて、どちらも遠い感あり。(川島千枝子)作者がいたわりと感動の思いで手術室に向う叔母をみているらしいとおもいました。しかし 兄が自分の兄の絵なのか叔母さんの兄なのかわかりませんでした。下の句と上の句をひっくり返すとわかりやすくならないでしょうか。亡くなった(戦死した?)兄の九段の桜の絵をその妹は胸にだいて手術をまっているといわれるとわかりやすいのですが内容的にあっていますか。(mohyo)
九段、病院、桜、とくれば、九段坂病院から見た都内有数の名所、千鳥ヶ淵公園の桜ということになります。通りを挟めば靖国神社。叔母の兄君の御霊が祀られているのではないでしょうか。脳の病気の手術。事によると兄の元へ旅立つかもしれない、と覚悟をしている叔母の気持ちが、美しい桜と対比されて際立ちます。(村田馨)