第15回サイバー歌会 歌評

28 桜蝦がいっぱい入ったかき揚げを思う火曜の昼の食堂

桜蝦も桜と同じく晩春の季語なので、少しずらしながらも同じく春の気分を詠っているという点で面白いと思います。また、昼の食堂という場所もいいですね。ただ、素材はいいのですが、生かしきれていないような気がします。かき揚げを「思う」としてしまったために、臨場感がなく、また、火曜は他の曜日に置き換え可能なような気がします。(村本希理子)

「思う」がものすごく大仰な感じがします。「火曜」という思わせぶりな語句に必然性があるとも思えないし、ただ単に桜蝦のかき揚げが食べたかったのに食堂にはなかった……、というだけの歌意しか僕には読み取れず、「それで?」という感じで心に響いてきませんでした。素材(食物)と場所(食堂)が即き過ぎなうえに、それをうまく作品として広げることができなかったのが要因でしょう。(伊波虎英)

素直に思いを57577のリズムで言ったのだなあとおもいました。今は胸やけがしそうですが昔はかき揚げを突然食べたくなりました。昼の食堂でそう思い火曜日だったとリアリティを出すためにいれられたのでしょうか。 かき揚げを思ったのは本当でしょうが食べたとか喰らうとかにした方が火曜の昼の食堂が活きるように思うのですがいかがでしょうか。(mohyo)

日常のひとこま。「思う」というからには、目の前にかき揚げはないようですね。食堂に入って昼食を取る。勤め人にとって、ささやかな幸せのひとときに、「桜蝦がいっぱい入ったかき揚げ」がなかった残念さが伝わってきます。火曜というのが絶妙で、週明けの月曜でも週末が近付く木、金曜でもない。一週間を単位にすると、トップギアで突っ走りはじめる曜日であり、なおさら欠乏感が増加するようです。(村田馨)

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