第15回サイバー歌会 歌評

31 風すこし冷たくなってくる夕べ<水晶湯>へと花は流れて

花は流れて花筏。そのイメージから銭湯への移行は(水の流れ繋がりで)まあ無理はないとはいえ、何故「桜の花」である必要があったのか? <水晶湯>という固有名詞に必然性があったのか?「水晶塔」への読み替えを期待しているとも思われず、漠然とセンチメンタリズムのみ残る。新奇な表現を求めるには、「桜」はあまりにも難しいお題だなぁ。。。 (誰鬼)

この歌にはクールでドライな抒情が流れているかと。水晶湯をあえて鉤括弧でくくったのも、銭湯(温泉?)というより、水晶という言葉から受けるシャープで硬質なイメージを強調する為かと思われる。桜を詠むと情念の世界にハマりがちになるものだが、この作品にはそうはいかない情感があっさりと詠み込まれて、なかなかいいセンいけると思う。(倉益敬)

水晶湯とは○○の湯とか××の湯とか名づけられた湯場が仕切られて設けられた温泉などの名称の一つなのか、或いは仮想して名づけられた名前なのか、何れにしても美しい組合わせですね。透き通る水晶と薄い花びらのさくらが相呼応して透明感があり抒情詩のような感覚をおぼえます。それぞれの好みでしょうがロマンテイックに流れすぎたかとも・・・。(上村霞)

風すこし冷たくなってくる夕べ”を話し言葉のようでなく、冷たくなりしとか落ち着いた言い回しの方が「<水晶湯>へと花は流れて」がいかされないでしょうか。「水晶」ですが、本物の水晶ではなく、湯の名前なのでしょうか。イメージが本物というより理科の岩石見本のような感じがしました。お風呂だからだと思いますが、夢がなさ過ぎと気づきました。ごめんなさい。一昨日、一瞬の風が吹き、桜吹雪をみました。あのように花びらが水晶湯に流れれば、真っ白な花びらをかき分けて入ってみるのも楽しそうです。(mohyo)

桜と水晶の取り合わせが着眼点なのでしょう。<水晶湯>は旅先の温泉か何か かと思います。そのネーミングの無機質さといろいろ背負う桜の花がミスマッチにもかかわらず、光景として美しかったのでしょう。(村田馨)

下の句の〈水晶湯〉に花が散りかかる様子が、上の句の風の冷たさに実感を与えています。語の選択も清潔でいいです。(はるのくるみ)

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