第15回サイバー歌会 歌評

33 店の名はタトウマニアと描きてある出で来し女の肌の花思(も)う

店から出てきた女の肌に描かれたタトゥは遠山桜に違いない、と私が思ってしまったのは、お題が「桜」だからです。お題が「桜」でなければ、薔薇とか百合とか、もっと別の花をイメージしたかもしれません。「女の肌の花思(も)う」という表現ですが、女の肌に「花」が描かれているのを目で見て、その花について何か思うところがあったのか、女の肌に「花」のタトゥがあるに違いないと想像しているのか、そのへんがいまひとつ分かりにくいと思います。素材は面白いです。(ほにゃらか)

はじめ、作中主体は店の名を見て女の肌に刻まれた花のタトゥを想像(妄想?)した、のかと思って、ここにない花を(女も)歌の中で生みだしているんだと面白く思ったのですが、読みまちがいですね。「女」は想像の中にいるのでなく、店から出てきたのですね。でも「花」は想像しているのでしょう。(やすまる)

刺青といわないでタトウなどというとまやかし文化のような気もします。私が面接した少女は清らかな清潔感があった話を終わらせようとしてふと目をやると制服の少女の白い細いうでに蛇のようなタトウが見えた。「よしこいや!」と心で思いなにもいわずに面接終了。多分タトウまがいを張っていたのではなかっただろうか。紺のきれいな制服白いブラウスの奥に見えたときは衝撃でした。長々と書きましたがタトウマニアの店から出てきただけで女の肌の花などを想像なさるのはなんか発想がありきたりかな。女の肌に自分と同じタトウを入れさせて今日から二人くらいの脚色はしてもいいような?(mohyo)

タトウから桜の入れ墨と想像するかというと、いささかずれているように感じますが、店から出てきた女性の肌の白さ、きめこまやかさから、作者は桜が似合うと思 ったのでしょう。ひねりを利かした面白い作品。(村田馨)

この作品は読み取りようによっては軽くヤバイところがある。
今でこそ入れ墨(このほうが馴染みやすい)のことを、タトゥなどとファッション感覚でオシャレに語っているが、昔はモンモンとか言っていた時代もある。その頃の彫り師は、刺青に必ず自分の銘を入れていた。たとえば、彫よしとか、ホリケン(これは違うか)とか、刺青天使(これも違うか)とか。であるからしてからに、この歌の女の肌に店の名の「タトゥマニア」と彫ってある可能性が、伝統を重んじる彫り師ならば、かなり高いと言う事なのである。 (倉益敬)


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