第15回サイバー歌会 歌評

36 さくら花堤にあふれ咲く午後の犬の歩みはわが影に添ふ

春になれば、普段は人通りの少ない散歩コースにも、桜に誘われてたくさんの人が集まってくる。その変様ぶりに飼犬もすこしばかり不安を覚えている……、ように飼主(作中主体)には感じられたのかもしれない。「われ」でなく「わが影」に添っているのが良い。そこから犬の微妙な変化に気付いている飼主を読み手はイメージするし、さらには、この犬はもっと飼主に寄り添って歩きたいのに不安感を隠して強がっているのかも……、と犬の性格へとイメージは膨らむ。つまり、飼主と犬双方のリアリティーが増し、作品のドラマ性が増す。ただ僕なら、下の句は「犬の歩みのわが影に添ふ」とする。(伊波虎英)

主観を排した描写は自然体で無理がなく、春の午後の穏やかな雰囲気が心地よくかもし出されています。さくら花、堤、犬と揃いすぎているかな~とも思いますが・・・。(上村霞)

http://www9.ocn.ne.jp/~masa719/wagayano-niwa.htm
岐阜県のメルトモさんから送られてきました。さかいがわに沿ったさくらです。犬を連れている人運動をしている方もたのしそうな川沿いです。人の数がちらほらでいいなと思います。このお歌も込み合った場所ではなく長閑な花堤ではないでしょうか。(mohyo)

この午後の堤はひと気のない場所をイメージしたい。犬にはわかるのである。あふれ咲く桜の放つ何かが。だから飼い主の影に隠れるようについて来るのである。(大塚寅彦)

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