第15回サイバー歌会 歌評
4 大波の縄の宇宙に舞ふ花や麻布一の橋ひかりの坩堝
「縄の宇宙」が何のことなのか、分からないので具体的に何のことかはよく分からないが、超ひも理論と関係あるのかな? それはさておき、視覚的なイメージが確かに想起できる。波打つ太縄が宇宙全体を走っているイメージから、「麻布一の橋」という、具体的な一地点へと収斂して行く像がダイナミックだ。という、第一印象を持ったあと、「縄の宇宙」をネット検索してみたところ、彫刻家のサイトがヒットしました。http://www.mariyoyagi.net
もしかして、麻布一の橋に彼女の彫刻があってそれを詠っているとしたら、ちょっとがっかりの気もします。(村本希理子)
「大波の縄」は、大縄跳び(多人数が一緒に跳ぶ縄跳び)のことかと思いました。大波は、縄が地面を大きく揺らすので、下に落ちている桜の花びらも舞いあげている。ぐるぐるとまわる縄のつくる空間を、「宇宙」に喩えているのではないでしょうか。その「宇宙」の中に、子どもたちだけでなく、桜の花びらも舞い上がる。そこは「麻布一の橋」の公園?で、その光景はまるで「ひかりの坩堝」だと詠っているのかと思いました。もし、そのような「なわとび」の光景を詠われているのだとしたら、かなりダイナミックな大縄跳びなのかなと感じさせる表現だと思います。(ぜんぜん違っていたら、申し訳ありません)
ただ、私は、麻布一の橋という土地について知らないので、この歌に「地名の固有名詞」を使われる必要があったのかどうかが分かりませんです。その土地ならではのもので、しかもかなり有名なイベントか何かなのでしょうか。(ほにゃらか)
「麻布一の橋」がどんな雰囲気の場所なのか知りませんが(どなたか解説お願いします)、この歌を読んで、少女たちが路地裏でゴム縄跳びをして遊んでいる場面をイメージしました。さらに、結句の「ひかりの坩堝」から、無邪気にきらきらと輝いていた自分の少女時代を懐かしんでいる作品と解釈しました。「平成」にはない、まさに「昭和」の、桜舞う美しくもノスタルジックな情景がここにはあります。と同時に、無邪気に跳びはねる少女たちを桜の花びらに見立てた歌でもあるのでしょう。(伊波虎英)
大波の縄、宇宙に舞ふ花、麻布一の橋、ひかりの坩堝・・・・・・どの句も柔らかい響きがあります。私には実感がつたわりません。何故だろうと考えました。焦点を絞ってみたらもっと良くなる気がします。(mohyo)
私も、「大波」と「縄」から、大縄跳びを思い浮かべました。縄がまわってつくりだす紡錘形を「宇宙」と表現していると思いました。銀河に紡錘形のものがあるのも関連しているでしょうか。その宇宙で舞うのは、子供達であり、散ってくる桜の花びらでもあるのでしょう。春の眩しい陽光の下での大縄跳びの情景だと思いました。「麻布一の橋」どんな所かは知りませんが、音として快いです。(やすまる)
私も大縄跳の光景だろうと思いますが、縄も花も宇宙もたゆたっているような不思議な感じがします。縄跳びと宇宙には少し既視感があるのですが、「大波の」から始まる上句のゆったりしたリズムが快い。麻布一の橋は知りませんが、歌が観念に拡散せずに、「ひかりの坩堝」という、ある意味大仰な言い方が、具体的な場に集められて実感がありました。子どもや少女期の思い出などの人の気配は感じませんが、地名が古風なのでそういう読みも出てくるのかな。(服部文子)
縄跳びの縄の中でグルグル回っていると、宇宙の果てしないイメージに入り込んだという歌だと思います。縄と麻布につながりがあり、良いと思いました。ひかりをひらがなにしているのに工夫が感じられました。麻布一の橋という橋があるのかどうかわかりませんが、あっても良い固有名詞ですね。(近藤かすみ)
私は麻布(五の橋近辺)の住民ですが、これは一の橋公園の光景でしょうか? 縄の宇宙や光の坩堝と一の橋との関連性が、よくわかりません。でも、魅力的な表現なので、むしろ地名を消して、桜と宇宙と光だけに絞られたら、更に良い歌になると思います。(るか)
すでに書かれていらっしゃるとおり、大縄跳びで子供たちが遊んでいるところに桜の花びらが舞っている描写を想像しました。かなりの人数ですと、それはそこだけで閉じた宇宙空間なのかな、と。麻布一の橋には公園があるようです。都会の真ん中、付近の住民のオアシスになっている場所と思います。麻布一の橋は幕末、庄内藩脱藩浪士の清河八郎が見廻組の佐々木只三郎に暗殺される場所ですが本作では関係ないでしょう。(村田馨)
麻布一の橋という地名から連想したものは、高速道路...首都高 の大きな分岐点があるところですので。ということで、夜の高速の光の帯を「縄」と、縄がのたうつ都会の光を 「宇宙」とみました。ひも宇宙も連想させて、面白いと思いました。芝公園、増上寺と桜の名所も近所です。(五賀祐子)
最初、縄の宇宙と麻布一の橋が結びつきませんでした。縄とあるので麻布は「あさぬの」と読むのだろうかと思ってしまったりしました。(瑞紀)
大波の縄、という広い時間軸と今を咲く桜とをリンクさせた、景の大きい歌だと思いました。麻布一の橋、という具体的な地名を入れることで、一回性が強調されているのも効果的です。(はるのくるみ)