第15回サイバー歌会 歌評

41 口紅(ルージュ)のみその唇に触れさせる人と黙せり満開のした

淡いロマンスを感じます。男性(作中主体?)の唇ではなく、口紅としか唇を触れることのない女性。その理由は、女性の貞操感が強いのか、奥手なのか、それとも横の男性に興味がないのか、またはプラトニックでいたいのか・・・・・・。そして、満開の桜の下で沈黙する二人。
読者の想像を掻き立てます。(るか)

口紅(ルージュ)のみその唇に触れさせるというのは男性の発想かな、と思いました。リンゴをかじる、ティッシュで拭く、スープを飲む。女性は口紅だけ触れさせるわけではありませんから。この歌の上の句の気づきがメインの歌だとおもうのですが、唇に触れさせるというのがなめらかに心に入ってこないのです。「人と黙せり満開のした」では、桜ではなく、彼女の唇を盗み見ている男性のときめきかもしれませんが、今流行の電車男のような・・・・・・。これは、上の句の影響が私をそういう感じにしてしまうのです。 (mohyo)

成熟とは清純の対極であると決め付けてはいけない。また恋は多弁にして始まるわけではない。何もしないし何も語らない成熟と貞節を併せ持った大人の色気を感じた。 また、さほどにルージュのみと感じさせるような唇とはどのようなものかとも想像した。山口百恵の往年の名曲のような感じだ。「色」を「匂い」に置き換えるあの歌のように、形ではなく緊張の関係そのものなのだろうと思った。純潔を守ったまま成熟するといったイメージが失われている昨今だからかもしれないが、鮮やかな感じがした。(黒田康之)

ものを食べたり飲んだりするときは唇に触れるだろ、というツッコミは置いておいて一途な女性と黙って満開の桜の下に居る、という場面だけで絵になりますね。(村田馨)

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